- かぜ
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かぜ【風】(1)空気の動き。 一般に, 気圧の高い方から低い方に向かう水平方向の空気の流れをいう。
「~が吹く」
(2)人に対する社会全体の態度。「世間の~は冷たい」
(3)ならわし。 しきたり。 風習。「芦原や正しき国の~として/新千載(慶賀)」
(4)名詞の下について, 接尾語的に用いる。 (ア)様子・態度・素振りなどの意を表す。「先輩~」「役人~」(イ)人をある気分にさせることを表す。 「臆病~に吹かれる」
→ かぜ(風邪)~青し新緑を吹き抜ける初夏の風がさわやかに感じられるさま。~枝を鳴らさず〔論衡〕世の中が太平であるさま。「五日の~十日の雨壌(ツチクレ)を破る事なし/太平記 32」
~薫(カオ)る初夏の若葉の中を, さわやかに風が吹き渡ってくる。 「~五月」﹝季﹞夏。 《~羽織は襟もつくろはず/芭蕉》→ 薫風~が吹けば桶屋(オケヤ)が儲(モウ)かる何か事が起こると, めぐりめぐって意外なところに影響が及ぶことのたとえ。~冴(サ)ゆ冬の風が吹いて寒さが一層増す。 ﹝季﹞冬。~に櫛(クシケズ)り雨に沐(カミアラ)う〔荘子(天下)「沐甚雨, 櫛疾風」〕風雨にさらされて苦労すること。 さまざまな苦労を体験するたとえ。 櫛風沐雨(シツプウモクウ)。~に順(シタガ)いて呼ぶ〔「荀子(勧学)」より。 風上で呼ぶとはっきり聞こえることから〕勢いに乗って事をなせば, 早く容易に成功するたとえ。~に靡(ナビ)く草〔論語(顔淵)〕小人が徳のある者, 有力者に従順なことのたとえ。~に柳(ヤナギ)「柳に風」に同じ。~の吹き回し事態のなりゆき。 形勢。「君がこんなに親切にしてくれるのはどういう~だい」
~の前の塵(チリ)〔「風前(フウゼン)の塵」を訓読みした語〕(1)物事のもろくはかないことのたとえ。 風前の塵。「たけき者も遂には滅びぬ, 偏(ヒト)へに~に同じ/平家 1」
~の前の灯(トモシビ)「風前(フウゼン)の灯」に同じ。~光る春の日差しの中を, そよ風が吹き渡る。 ﹝季﹞春。 《装束をつけて端居や~/虚子》~を切・る風に逆らって突き進む。 また, 勢いよく進む。「矢が~・って飛ぶ」
→ 肩で風を切る~を食ら・う事態を察知して素早く逃げるさまをいう。 多く悪事が露見した場合にいう。「~・って逃げる」
~を吸(ス)い露(ツユ)を飲む〔荘子(逍遥遊)〕仙人が穀物を断って風と露で生きていること。 仙人の生活。~を捕(ツカ)ま・える(1)ありもしないものをつかもうとする。 不可能な試みのたとえ。(2)「雲をつかむよう」に同じ。IIかぜ【風邪】〔「風」と同源〕呼吸器系の炎症性の病気で, 単一の疾患ではなく, 医学的には風邪症候群という。 熱がでて寒けがし咳が出る。 感冒(カンボウ)。 ふうじゃ。 ﹝季﹞冬。~を引・く(1)風邪にかかる。 感冒にかかる。(2)空気・湿気にふれて変質する。「チャガカゼヒク/日葡」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.